人事労務担当者は年始に必ず年間カレンダーを作成する必要があります。年間カレンダーを正確に作成しないと、割増賃金の計算を誤ってしまい、場合によっては労働基準監督署から指導を受けてしまう可能性があります。この記事を通して、法定休日や、所定休日、所定労働日などの定義を明確にし、正確な年間カレンダーを作成しましょう。
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目次
年間カレンダーを作成する目的
年間カレンダーを作成する目的として以下の3つがあります。
労働時間の管理をするため
年間の労働時間を正確に把握し、法定労働時間を遵守します。特に、1年間の総労働時間が法令を超えないようにすることに注意が必要です。
1時間あたりの賃金の算出を正確にするため
年間カレンダーの所定労働日と月給から1時間あたりの賃金を算出します。この計算が間違っていると、法定時間外労働や法定休日労働に対する割増賃金の計算が正確にできません。もし、割増賃金を法定の時間単価よりも低い金額で計算をしてしまっている場合、労働基準法違反で労働基準監督署から指導を受ける可能性があるので注意しましょう。
休日を把握するため
就業規則などで定めた休日をカレンダーに反映することで、年間労働日数や割増賃金の計算などを正確に行うことができます。
休日の定義
休日には法定休日と所定休日があります。違いを明確に把握しましょう。
法定休日
労働基準法で、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないと規定されている休日のことを法定休日と呼びます。法定休日は必ずしも日曜日である必要はなく、就業規則で定めることができます。また、4週間に4日以上の休日を与えれば良いとする変形週休制も認められています。これも法定休日としてみなされますが、就業規則などにおいて4週間の起算日を明らかにする必要があります。
所定休日
法定休日以外で定められている休日を所定休日と呼びます。
例:土日の週休2日制で日曜日が法定休日であれば土曜日は所定休日となる。
ポイント
労働基準法では、割増賃金の割合を、法定休日の場合は35%増し、所定休日の場合は基本的に25%増しと定められています。
年間カレンダー作成の流れ
必要な情報の収集
就業規則に書いてある労働時間や休日などの情報を集め、年間カレンダーを作成する準備をします。
ポイント
- 就業規則に書いてある労働時間や休日を把握しましょう
- 1日の法定労働時間(8時間)や1週間の法定労働時間(40時間)に注意しましょう
- 祝日や会社独自の休日を把握しましょう
年間労働日数を計算
年間労働日数は次の計算式で求めます。
年間総日数 - 法定休日や祝日、会社独自の休日を合計した数
※年次有給休暇や特別休暇は「休暇」に当たるため、年間休日数にはカウントされません。
仮カレンダーの作成
上記の情報を元に仮で年間カレンダーを作成します。Excelやスプレッドシート、またはカレンダー作成ツールなどを活用すると便利です。
社内で確認・調整する
仮で作成した年間カレンダーを社内の関係部署(特に経営陣や現場責任者)に見せ、意見を交わし、年間カレンダーの調整を行います。
最終版を確定し社内に通知する
調整を経て年間カレンダーを確定させた後、メールや社内掲示板、ハンドブックなどを活用して社内に周知します。
よくある質問とトラブルシューティング
Q. 年次有給休暇やバースデー休暇などの特別休暇を年間休日数としてカウントできますか?
A. できません。理由としては、これらは休暇としてみなされるためです。ただし、夏季休暇や年末年始休暇は全員が一斉に休む日であるため、年間休日に含まれます。
Q. 会社として一般的な週休制度を取ることが難しい場合はどうすればいいですか?
A. 4週間に4日以上の休日を与えれば良いとする変形週休制を取ることができます。ただし、就業規則などにおいて4週間の起算日を明らかにする必要があります。
年間カレンダーの作成は、法定労働時間や賃金計算の基盤となる重要な業務です。労働基準法を遵守しつつ、社員が働きやすい環境を整えることで、会社全体の生産性やモチベーションを向上させることができます。今回紹介したポイントを参考に、自社に最適な年間カレンダーを作成しましょう!