年末調整を正確に行うためには、必要な書類を正しく記入・提出することが重要です。この記事では、年末調整でよく使われる主要な書類の種類と、それぞれの書き方について詳しく説明します。不備なく書類を準備することで、年末調整をスムーズに進められるようになります。
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目次
年末調整で必要な書類の種類
年末調整に関連する主な書類は以下の通りです。それぞれの書類には異なる役割があり、正確に記入・提出する必要があります。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養親族に関する情報を記載するための書類です。家族の状況や扶養控除を受けるための条件に関する情報を申告します。この書類は、その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日まで(※)に提出が求められる重要な書類です。
※中途入社の場合は、修飾語最初の給与の支払いを受ける日の前日まで
給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料、地震保険料、社会保険料などの保険料に関する控除を受けるための書類です。各種保険料の支払証明書をもとに、控除額を申告します。
住宅借入金等特別控除証明書
住宅ローン控除を受けるために必要な書類で、住宅ローンの残高証明書を添付して申告します。初回の年のみ確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きを行います。
配偶者控除等申告書(必要な場合)
配偶者がいる場合、その年収に応じて配偶者控除や配偶者特別控除を申請するために使用します。
各書類記入時の注意すべきポイント
それぞれの書類には、記入時に注意すべきポイントがあります。以下に、主な書類の書き方とその際の注意点を解説します。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の場合
この書類は、扶養親族の有無やその収入状況を申告するために使います。記入する際には、以下の点に注意しましょう。
- 扶養親族の氏名や生年月日を正確に記入すること。特に、親族のフリガナも記載が求められるため、漏れがないようにします。
- 配偶者や扶養親族が障害者である場合は、該当する欄にチェックを入れること。
- 収入の見込み額を正確に記入すること。扶養親族の年収が103万円を超える場合、扶養控除の対象外となるので、注意が必要です。
給与所得者の保険料控除申告書の場合
この書類は、保険料の支払いに関する控除を申請するために使用されます。記入時の注意点は以下の通りです。
- 生命保険料控除や地震保険料控除の証明書を添付する。保険会社から発行された控除証明書が必要となりますので、必ず添付しましょう。
- 控除を受ける保険契約の種類を明確に記入すること。新制度・旧制度など控除額が異なる場合があるため、契約年によって正しい区分を選択しましょう。
- 社会保険料控除も記載すること。自分で支払った国民年金保険料などがある場合、それも記載します。
住宅借入金等特別控除証明書の場合
住宅ローン控除を受ける際に使用します。以下の点を確認しながら記入してください。
- 住宅ローン残高証明書を添付する。ローンの残高証明書が必要で、控除額は残高に基づいて計算されます。
- 住宅の取得日や入居日を記入する。これらの日付によって控除が適用される条件が変わることがあるため、正確に記載しましょう。
- 金融機関名とローン番号を記載する。これにより、ローンが正しく認識され、適切に控除が行われます。
配偶者控除等申告書(必要な場合)
配偶者がいる場合、その年収に応じて配偶者控除または配偶者特別控除を受けることができます。
- 配偶者の年収を正確に記入すること。所得が収入のみの場合、収入が103万円を超えると配偶者控除の対象外になり、201万5,999円を超えると配偶者特別控除の対象外となります。配偶者が給与所得者である場合、源泉徴収票をもとに収入額を記載すると正確です。
書類を記入する際のよくあるミスとその対策
年末調整の書類記入では、以下のようなミスが多発します。これらを防ぐための対策も紹介します。
必要書類の添付忘れ
控除証明書や残高証明書など、添付が必要な書類を忘れると控除が適用されません。書類を提出する前に、チェックリストを作成して確認しましょう。
記載内容の誤りや記入漏れ
扶養親族の氏名や生年月日、収入見込み額など、正確な情報を記入する必要があります。記入内容が不明瞭な場合は、従業員に事前に確認を行うことで不備を減らすことができます。
控除額の計算ミス
保険料控除や住宅ローン控除の計算は複雑なことがあります。証明書に記載された金額を正しく反映し、記入漏れがないようにします。
正確に書類に記入することは、年末調整をスムーズに進めるために重要です。この記事で紹介したポイントを参考に、不備なく年末調整を完了させましょう。次回の記事では、「扶養控除とは?その仕組みと申請手続き」について詳しく解説します。