はじめに
新型コロナウイルスの拡散により、テレワークを経験された方が多いと思います。そのため、会議や一部の教育がオンラインで行われています。アフターコロナに向けて出社し働く場合も増えてくると思いますが、今までのテレワーク経験は今後の働き方に大きな影響を及ぼすでしょう。今回はアフターコロナの働き方について考察していきます!
テレワークについて
テレワークのメリットとして通勤時間がなくなること、物理的距離を考慮せずに会議を実施できることが挙げられます。例として、東京と大阪にいる職員同士が移動を考慮せずに会議を進めることができ、非常に効率的です。また、通勤ラッシュのピークに電車やバス、車での移動時間もなくなり、通勤にかかっていた時間の有効活用でき、そして通勤によるストレスも軽減されます。つまり、テレワークは非常に生産性の高い勤務形態だと考えられます。
一方、デメリットとして同じ空間にいないため社員のマネジメントが難しい点を挙げられます。オフィスの場合、部下が作成している資料や顧客との電話内容もすぐ把握できるため、その場でフィードバックが可能です。また、社員の健康管理もしやすいです。実際に、顔を見たり、話をしたりすることにより、心身ともに満たされた状態で働いているのか等、社員の体調が把握できます。一緒に昼食をとりながら日常のコミュニケーションをとることで、社員間の関係性も深まりやすいです。しかし、このような行動はテレワークだとできないです。
つまり、業務においてテレワークはメリットが多い一方、人々との関係性に関するマネジメントにおいてはデメリットも多いことがわかります。今後の働き方において、このバランスを保つようにマネジメントすることができる場合、企業としてもテレワークを積極的に導入することで生産性を高めることができます。
テレワークの現状
日本生産性本部が2022年10月に発表した第11回働く人の意識に関する調査「調査結果レポート」によると、2022年7月のテレワークの実施率は16.2%と過去最低の水準を記録し、2022年10月には 17.2%と前回(2022年7月)から1%増加しましたが、統計的有意差はないとみられています。特に、これまでテレワークを牽引してきた中・大企業においてテレワークの実施率が減少傾向にあると説明しています。
図1 テレワーク実施率
日本生産性本部の第11回働く人の意識に関する調査「調査結果レポート」におけるテレワーク実施率の推移
(出所:日本生産性本部の資料を基にWorkStyleTechが作成)
次に、2022年10月の年代別のテレワークの実施率を比較すると、20代は前回より6.6%増加した18.6%を記録し、30代は16.0%、40代は17.2%で、年代によるテレワークの実施率の差はあまりみられないという結果が出ています。
また、自宅での勤務に関する満足度を調査したところ、2022年1月には34.3%で過去最高の水準を記録したものの、同年4月には25.0と前回より9%減少しました結果がみられました。同年7月には29.7%、10月には31.6%で前回より少しずつ増加したものの、有意義な差はないと指摘しています。
最後に、直近のテレワーク実施率は 17.2%と、過去最低の水準であった前回と大きな差はないと述べています。加えて、アフターコロナにおけるテレワーク普及の可能性についてはやや悲観的であり、 企業がビフォーコロナの働き方に回帰の動きが大きくなっている傾向がみられていると分析しています。
テレワークの課題
それでは、どうすれば理想的なテレワークが可能でしょうか? その要素について以下の2点を考えられます。
まず、自律的に働ける社員の育成です。自ら目標を設定し、計画を立てて実行し、必要に応じて上司や関係者に報告·連絡·相談などのコミュニケーションが取れる社員が多ければ多いほど、マネジメントはしやすくなるでしょう。適切に休憩もとりながら自主的にできる社員です。
次に、タスクの指示とチェックを適切に行うマネジメント能力です。社員が働いているかどうかを細かく確認するマネジメントではなく、タスクの指示を適切に行い、進捗の度合いをチェックしフィードバックを行うことです。指示したタスクが期限内に提出できるように管理することです。タスクを起点としてコミュニケーションをとることで、進捗が進んでいない場合はその理由を確認し、体調を崩すことや不備がある場合は休憩を取らせることもできます。
テレワーク実施の前提として「どのような人が評価を受けるのか」といった人事制度も併せて検討する必要があります。タスクのアウトプットを重視し、アウトプットで評価する仕組みといえば、テレワークという新しい働き方は適用しやすいです。一方、業務時間や勤続年数などが主な評価指標である場合、テレワークの導入は難しいでしょう。
おわりに
アフターコロナの働き方として、テレワークとオフィスワークの2つを組み合わせたハイブリッド型ワークスタイルを導入する企業が増えています。また、テレワークを実施していない場合には、時差出勤とフレックスタイム制を導入して正常出勤をより柔軟な働き方を推進するための体制を導入している企業も増えています。
新しい働き方への転換は就業規則や労働契約の見直し等、規定整備を行うことが必要となることがあり、定着するまでにかなりの時間がかかります。勤務形態の変更および定着のためには、全般的な組織の状況を理解し配慮できる環境を整える必要があり、勤務形態の変更時に従業員ができる経験する困難を素早く把握し解決できる円滑なコミュニケーションが不可欠です。
出所:日本生産性本部「第11回働く人の意識に関する調査「調査結果レポート」」